国宝紹介>1380年以上前の刺繍断片に記されていることは?

「天寿国繍帳残欠」は、1380年前に作られた刺繍布の残りです。
1380年前というと、聖徳太子が亡くなったころのことです。
「天寿国繍帳残欠」は、聖徳太子の妃の一人、橘の大女郎が
「太子が旅立った天寿国(浄土)の様子を描き、故人を偲びたい」と
推古天皇に申し出て、推古天皇の命令で、作成されました。
渡来人が下絵を描き、宮廷に仕えた女官らが刺繍を施しました。

この後、「天寿国繍帳残欠」は、法隆寺に眠っていましたが、
鎌倉時代に中宮寺の尼僧・真如により発見され、
その後は、中宮寺に伝わりました。
現在残る「天寿国繍帳残欠」は、飛鳥時代のものと鎌倉時代に
復元されたものを編成したもので、
江戸時代に状態の良好な部分だけを取り出し、
絹の上に貼り付け額装したもので、当初の姿の一部にすぎません。
長い歴史を歩んできた「天寿国繍帳残欠」ですが、
色や形がよく残っているのは、飛鳥時代に作られた部分なのですから、
当時の染色技術のすばらしさが、わかります。

そこで、この製作の経緯が、なぜ詳しく分かっているのでしょう?
それは、この刺繍の亀の甲羅に四字の漢字が書かれているのですが、
この四字と内容が一致する文献があるためです。
「上宮聖徳法王帝説」という聖徳太子の伝記にこの亀の四字が、
書かれているのです。
「天寿国繍帳残欠」は、片方に聖徳太子像もう片方に仏の姿が描かれ、
太子の伝記も描かれていたようです。
そして、この刺繍は、太子が愛用したベッドに張り巡らされていた帳に
使われていたようです。
現在は、奈良国立博物館に寄託されている「天寿国繍帳残欠」ですが、
複製は、収蔵元の中宮寺で見ることができます。

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