国宝紹介>貴族のお好み、阿弥陀如来坐像

平等院鳳凰堂に安置されている「阿弥陀如来坐像」は、
平安時代中期の仏師、定朝とその弟子たちが作成しました。
定朝は、父の仏師、康尚と共に、藤原道長、頼道親子に気に入られ
多くの仏像の依頼を受けました。
当時の貴族たちの好みは、この「阿弥陀如来坐像」のような
優美でやわらかく丸みをおびた印象の仏像でした。
特に、定朝の作る仏像は、平安時代の人々に大変人気があり、
その後100年以上にわたり定朝流の仏像は、各地で大流行しました。
その定朝が、作成したと確定している唯一の仏像が、
この「阿弥陀如来坐像」なのです。

定朝は、仏像造りを一木造りから寄木造りへ変革し完成させました。
当時の主流だった一木造りは、仏像の中心部を切り離してはならない
との畏敬の考えからですが、大きな木を用意する必要があり、
失敗が許されないなどのデメリットもありました。
そこで、複数の木材を使用することで大きな仏像が作れて、
分業も可能な寄木造りが主流になっていきました。
この方法なら、殺到する貴族からの注文にも対応できました。

「阿弥陀如来坐像」が、収蔵されている国宝平等院鳳凰堂には、
数々の国宝が収蔵されています。
定朝は、鳳凰堂内部をデザインした総合ディレクターでもありました。
建立当時の鳳凰堂内部は、極彩色にあふれたまさに極楽浄土を
イメージした華やかなものでした。
それは、平安時代の人々にとって西方浄土の入り口だったのです。

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