国宝紹介>三十六人家集の作られた意図は、何か？

それでは、優れた歌人の歌集を、贅を尽くした紙に書き記した、
この「三十六人家集」は、何の目的のために作られたのでしょうか？
その手がかりは、制作年代を調べることで判ります。
書道史家によると「三十六人家集」は、約２０人の手によって
書かれているそうです。
その２０人の中から、有名な人物の生没年が分かれば、
彼らの生きていた年代が、この歌集の制作時期だということが
分かるのです。

この２０人の中には、有名な公卿がいました。
その人物の日記から、「三十六人家集」に該当すると思われる部分を
見つけました。
その日記によると、１１１２年白河上皇の６０歳のお祝いに合わせて、
この美しい歌集は、作成されたと伝えています。

上皇のお祝いのためにつくられた美麗な「三十六人家集」は、
「料紙装飾」の白眉とも言われています。
料紙とは、書や絵を書く用紙のことを言います。
平安貴族たちは、この料紙を色々な色に染色し、模様を描き、
金や銀でかざり楽しみました。
「三十六人家集」は、貴族の豊富な資金により大変豪華な作りで、
国宝として、計三十七点が指定されています。
それらは、「料紙装飾」に凝った、ため息のでる作品が多いです。