国宝紹介>隠れキリシタンがたずねた、大浦天主堂

長崎県にある教会「大浦天主堂」も国宝のひとつです。
国宝というと神社仏閣をイメージしますが、この「大浦天主堂」は、
現存する日本最古の本格的洋風建築として、江戸時代に建造された
歴史ある建物なのです。
「大浦天主堂」は、よく浦上天主堂と間違えられますが、
浦上天主堂は、原爆により再建され当時のものは残っていません。

「大浦天主堂」の内部にはいると、どことなく和風な趣を感じます。
土地を取得し設計をしたのは、イエズス会のフランス人宣教師
フューレ神父ですが、施工責任者は、天草出身の大工だったからです。
アーチ状の天井は、竹を編んで漆喰を塗っています。
工事は難航しました。
フューレ神父は、ノイローゼになって帰国、後任のプティジャン神父が
残務を引き継ぎました。
そうして、苦労のかいあって１８６４年に完成しました。
当初、教会名は、豊臣秀吉のキリシタン禁教令によって処刑された、
日本人２０名外国人６名の殉教した聖人に奉献するという意味で
「日本二十六聖人殉教者天主堂」と名づけられ、
別名「フランス寺」とも呼ばれました。
現在は、地名から「大浦天主堂」となりました。

「大浦天主堂」が完成したとき、隠れキリシタンがプティジャン神父を
たずねてやってきました。
長い間の弾圧に耐えながらも信仰し続けた「信徒発見」のエピソードに、
フランスから記念のマリア像が贈られ、現在も「日本の聖母」像として
正面入り口に飾られています。
「大浦天主堂」も戦時中は、原爆の被害を受けましたが、
修復をかさねて当時の面影をのこしています。