国宝紹介>明治になって観音様と分かった、百済観音

「百済観音」は、顔が小さく背が高いスマートな観音菩薩像です。
ここまでスタイルのいい仏像は、なかなか日本ではお目にかかれません。
それは、顔面や肢体にも表れていて、繊細な作りになっています。

顔の表情は、小さな目や口が穏やかでやさしく、
腕から足元まで垂れた衣もゆるやかなカーブを描きとても美しいです。
制作当時、顔面の表面には、刻そう漆がコーティングされていたようで、
妖艶な魅力をかもし出していたのでしょうか。
この「百済観音」という呼び名に関しては、
明治時代に行方不明だった宝冠が発見されたことで、
この仏像が、観音様だとうことが分かってからのことで最近のことです。

まず、菩薩とは、仏教では、仏の次の位にあって悟りを開こうと
修行を重ねている者のことを言います。
その菩薩のなかに観音様はいて、現世的なご利益をいただけると
人気の高い菩薩なのです。
菩薩は、出家前の釈迦をモデルにしていますので、
古代インドの王族や貴族の服装をまとい、冠や胸飾りなどの装飾品を
装着しています。
この「百済観音」も菩薩ですので、衣や装飾品で飾られています。